FAQ

製品について

TEOSについて詳しい物性等を教えてください。


シリンダ、アンプル充填されたTEOS
シリンダ、アンプル充填されたTEOS
TEOS
化学名 テトラエトキシシラン
別名 珪酸エチル
正珪酸四エチル
TEOS
英名 Tetraethyl orthosilicate Tetraethoxysilane
化学式 Si(OC2H5)4
CAS# [78-10-4]

TEOS物性表へ


由来と用途

正珪酸四エチル Si(OC2H5)4[略してTEOS]は、江戸時代にあたる1846年にエーベルメンによって 四塩化珪素SiC14とエタノールから合成され、古くから知られたアルコキシドです。

アルコキシドとはアルコール化物という意味で、他の有機金属に比べて発火しにくい、揮発性の物質が多い、複合金属酸化物を作りやすい、など多くの特徴を有しています。このため、TEOSへの添加剤として使用される燐 化合物 P(OCH3)3 [TMP]、PO(OCH3)3 [TMOP]、PO(OC2H5)3 [TEOP]や棚素化合物 B(OCH3)3 [TMB]、 B(OC2H5)3[TEB]、また、高誘電体膜原料のTa(OEt)5など電子デバイス用に

TEOSの用途としては、下記のものが上げられます。

  1. 保護膜
  2. 素子と配線との間の絶縁および空間充填
  3. 穴、配線パターンなどの形成用の耐エッチング膜
  4. 配線層間の絶縁及び空間充填
  5. 不純物を遮蔽、 固定、吸収するための阻止膜

TEOSの性質

TEOSは、無色透明な液体で、水にほとんど溶けず油のように上に浮いてしまい、境い目がわずかに 白濁する程度です。撹拝しても油のように分離し、一夜放置しても2つの液体に分かれたままであります。
ただし酸を加えると直ちに加水分解して白く濁り、エタノールと二酸化珪素SiO2になります。

水には溶けにくく、有機溶剤一般にはよく溶けます。これは,モノシランSiH4が有機溶剤にも難溶であるのと対照的であり、成膜プロセスでの違いのひとつともなります。
有機溶剤が溶けるのと同様、一 般の樹脂類に対しても親和性を示し、膨潤させたり溶出させたりするので、接液材料に樹脂類を用いる ことは避けるか、事前評価が必要となります。


TEOSの毒性

TEOSの毒性に関する性質は下記の通りです。

吸入致死濃度 LC50(ラット)=2,500ppm
参考:毒物<200ppm・1hr
劇物<2,000ppm・1hr
作業場許容濃度 TLV−TWA 10ppm(ACGIH 1995-96)
85ppmでアルコール様の特異臭が感しられ、1,000ppm程度より刺激が強くなる。
特徴的な毒性 血液系への作用である。
溶解性 脂溶性であり、水に難溶である。
沸点 約169℃
蒸発熱 約220J/g
室温では蒸発しにくい液体である。
加水分解性 加水分解はかなり遅いが、酸があると著しく加速される。
加水分解物のエタノールは水に全溶、二酸化珪素はpH1〜9で0.015wt%、pH11で0.5wt%の溶解度がある。

火災危険

TEOSの火災に関する数値は次の通りです。

引火点 56.3℃
発火点 248℃
燃焼範囲 0.7〜5.75%
燃焼熱 5,526kJ/mol
炎色 なし
煙色 白色

皿に入れたTEOSをライターで火を点けることはできませんが、紙に染み込ませれば燃えます。大量でなければ、フタをかぶせるなどの窒息をさせればすぐに消え、再着火することはほとんどありません。

水に浮き、加水分解で可燃性のエタノールを発生するので、水消火は好ましくありません。火炎の熱で蒸気圧が高くなったり、容器内圧力が高くなるため、容器破損から漏洩することを防止する必要があります。漏れた時は、少量ならば紙、砂、バーミキュライトなどの吸収剤で除去し、少量ずつ水に沈めて 置くのが良いでしょう。

燃焼範囲の下限0.7%は、引火点の45℃に近い47℃の蒸気庄に相当するので、 容器は高温にならない所に保管してください。

TEOSは、電気抵抗率が大きく静電気を帯びやすいので、容器や配管の十分な接地や、接続前の放電が必要です。特に高周波装置の近くでは、漏洩電流や配管がアンテナとして作用する誘導電流によって微少火花が発生し得るので、注意してください。


TEOSの蒸気圧

TEOSの室温付近の蒸気圧を気体飽和法により測定しました。

気体飽和法とは、測定試料を所定の温度で蒸発させ、その飽和蒸気を回収し、蒸発回収量から蒸気圧を求める方法で、実際のCVDに近い蒸気圧測定法です。
今回の測定は、測定温度30〜50℃、全圧1.333kPa、キャリヤーガス10〜30sccm、測定時 間15〜60minで、各ランの蒸発量は1.6〜3.5gでした。TEOSは単量体であることから圧力に換算し、Clausius-Clapeyronプロットしました。

(図1)
図より、Clausius-Clapeyronの式(1)が求められます。

また蒸発熱は、ΔH=46kJ/mol でした。

参考文献 1) Ebelmen : Lieb. Ann. 57, 319/55 (1964)